リフレクティングReflecting
2019年度より、科学研究費補助金基盤研究(B)「地域における精神障害者家族に対するリフレクティングを用いた実践的介入モデルの開発」(研究代表者:大川貴子)を行っています。
この研究では、以下の3つを実施しています。
- 01 北欧でのリフレクティングを用いた精神医療からの学び
- 02 リフレクティングを実践するためのスタッフ教育
- 03 地域で生活する精神障害者および家族に対するリフレクティングを用いた介入
ふしぎな縁で結ばれた「福島」と「熊本」の2つの地域をフィールドにして、研究活動をすすめています。共同研究メンバーも多職種で構成されており、専門性や立場の違いで生じる“差異”に知的な刺激を受け、ワクワク、ドキドキしながら取り組んでいます。
リフレクティングとは?
本研究における「リフレクティング」とは、トム・アンデルセンが生み出した「リフレクティング・プロセス」のことです。「リフレクティング・プロセス」では、相談者(話し手)と面接者(聞き手)との会話が行われた後、この会話について会話するリフレクティング・チームを置き、チームの会話を相談者(話し手)が聞くというプロセスを踏み、相談者(聞き手)の外的会話と内的会話を促進していきます。
詳しくは、以下の文献をご参照下さい。
- ・トム・アンデルセン著,鈴木浩二監訳(2015):リフレクティング・プロセス 会話における会話と会話,金剛出版.
- ・矢原隆行(2016):リフレクティング 会話についての会話という方法,ナカニシヤ出版.
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01
北欧でのリフレクティングを用いた
精神医療からの学び-
フィンランドの実践を学ぶ
2019年9月に、リフレクティングを取り入れた支援を展開しているオープンダイアローグの発祥の地であるフィンランドを訪問し、様々な学びを得ました。
ケロプダス病院の元院長であるビルギッタさんにもお目にかかることができ、オープンダイアローグが生まれる前の病院の様子や、有志による勉強会を定期的に開催し、“人とはどういうものか” を学ぶ機会をつくることから始めたという、貴重なお話を伺えました。詳しくは、以下の文献をご参照下さい。
- ・大川貴子,三澤文紀,木島 祐子,円谷善孝(2021):リフレクティングを用いた支援方法の実際を学ぶ オープンダイアローグ発祥の地フィンランドを訪ねて,福島県立医科大学看護学部紀要,23,57-60..
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ノルウェーの実践を学ぶ
2021年10月31日に、ZOOM による国際シンポジウム「リフレクティング・プロセスから展望する新たな精神保健医療福祉の展開 ~ノルウェーと日本での実践から~」を開催しました。
ノルウェーのトロムソにあるUniversity Hospital of North Norwayにて診療に携わる精神科医のマグヌス・ハルトさんから、ノルウェーにおけるメンタルヘルスの提供制度や、トム・アンデルセンとの出会いから今日までのリフレクティング・プロセスに関する実践、メディケーションフリー・トリートメントについてなど、とても興味深いお話を聞くことができました。
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02
リフレクティングを実践するための
スタッフ教育-
福島でのトレーニング
トレーニングの概要
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A.大学でのトレーニング
リフレクティングの実践で中心的役割を果たすスタッフが福島県立医科大学に集まり、月に1回、トレーニングを実施
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B.各機関でのトレーニング
「訪問看護ステーションなごみ」および「訪問看護ステーションのびのび」(併設する福島県立矢吹病院との合同)において、月に1回ずつトレーニングを実施
トレーニングの方法
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①リフレクティング面接への参加
参加者の中から、悩み(対応の難しいケースなど)を抱えている人を相談者(話し手)、別の参加者が面接者(聞き手)、更に別の3名程度の参加者がリフレクティング・チームを担当して、リフレクティングの面接を行う。相談者を体験することでリフレクティングの理解が深まる。
また、面接者やリフレクティング・チームを担当することで、リフレクティングの練習をすることができる。面接者やリフレクティング・チームは、相談者を脅かさないで応答をする(安全性)、相談者の言語的・非言語的表現を基に応答する(応答性)、いつもとは違う何かを模索する(多様性)ことを目標としている。②リフレクティング面接の録画をふり返る
上記①の様子を録画しておき、面接直後に再生してふり返る。相談者と面接者のやり取りやリフレクティング・チームのコメントを検討したり、他の応答の仕方を考えたりする。
③オンライン練習
上記①の録画された面接の一部を再生し、再生が止まった時点で面接者としてどのような応答をするかを各自考え、皆で検討する。今は、相談者の言葉をそのまま活かした応答について練習している。
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熊本でのトレーニング
トレーニングの概要
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・リフレクティングを臨床実践、多職種連携等、多様な場面で導入・活用するため、2018年4月より、1期2年間の研修を実施。
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・各期、多職種からなる5名程度のスタディ・グループが病院組織内から4グループ、外部機関から1グループ参加。現在、四期生の研修が始まっている。
トレーニングの構成
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第一学期:理性的な学び
テキスト『リフレクティング』基本編の輪読
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第二学期:実践的な学び
基本的なリフレクティング・トークの安全な場での体験
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第三学期:関係的な学び
パラレルチャートによる新鮮な関係の涵養、as if の体験
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第四学期:身体的な学び
フィードバック・ミーティング開催を通した自らの場づくり体験
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修了課題:自由な表現
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03
地域で生活する精神障害者および家族に対するリフレクティングを用いた介入
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2019年4月より、福島では「訪問看護ステーションなごみ」と「訪問看護ステーションのびのび」において、熊本では「ORC桜が丘」において、地域で生活する精神障害者の方やそのご家族で、リフレクティングの面接を受けたいという方を対象に、研究を行っています。
主治医やアウトリーチ担当医から参加承諾が得られ、ご本人からの同意を得られた方にご協力いただいております。
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共同研究メンバー
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大川 貴子
福島県立医科大学看護学部 / 精神看護学
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三澤 文紀
福島県立医科大学総合科学教育研究センター / 心理学
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矢原 隆行
熊本大学大学院人文社会科学研究部 / 臨床社会学
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小林 幹穂
特定医療法人富尾会 桜が丘病院 / 精神科医
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大嶌 高明
特定医療法人富尾会 桜が丘病院 / 精神保健福祉士
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木島 祐子
訪問看護ステーションなごみ / 看護師
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円谷 善孝
訪問看護ステーションのびのび / 看護師
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安保 寛明
山形県立保健医療大学看護学科 / 精神看護学
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田村 達弥
福島県立医科大学看護学部 / 精神看護学
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吾妻 陽子
福島県立医科大学看護学部 / 精神看護学